日当たりの良いコンクリート壁やベランダの手すりを忙しなく動き回るあの赤い粒。その大部分は、ダニ目タカラダニ科に属するタカラダニ(カベアナタカラダニ)という種類のダニだ。日本国内の都市部で春先に目撃される赤虫のほとんどが本種であり、コンクリートの隙間や苔の周辺を生息域としている。
植物に害を与えるカンザワハダニなどのハダニ類と混同されやすいが、ハダニが主に植物の葉裏に寄生するのに対し、タカラダニは建物の外壁や舗装道路などの人工構造物を好む傾向が強い。歴史的にも古くから存在が確認されており、安富和男(衛生害虫学者)の研究をはじめとする生活衛生学・害虫防除の分野において、都市環境の変容に伴う発生メカニズムの解明が進められてきた。害虫駆除・環境衛生業界のデータによれば、気温が上昇し始めるゴールデンウィーク前後から一気に孵化が進み、初夏の風物詩とも言える大量発生を引き起こすという。