実写映画『GANTZ』の撮影を語る上で欠かせないのが、俳優陣の肉体を極限まで追い込んだ「ガンツスーツ」の存在です。1着あたり数十万円の制作費が投じられたとされる特注のラバースーツは、極限までボディラインを美しく見せる反面、通気性が一切なく、激しいアクションのたびに破れるリスクを伴う過酷な衣装でした。
着用時には潤滑用のローションを全身に塗り、複数のスタッフがかりで時間をかけて着脱を行っていたというエピソードは、制作発表や特番インタビューでも度々語られています。冬場の過酷なロケーションやスタジオの熱気の中で、体温調節すら困難な状況下であっても、本郷奏多は西丈一郎としてのクールな佇まいを崩すことはありませんでした。
特に象徴的なのが、物語序盤の白眉である「ネギ星人」との戦闘シーンです。転送されてきたばかりで何も理解できていない玄野計(二宮和也)や加藤勝(松山ケンイチ)を嘲笑い、ステルス機能(透明化)を駆使して冷酷にXガンを撃ち込む西の姿は、観客に強烈な絶望感とルール無用の世界観を叩き込みました。
現場において、座長である二宮和也の柔軟かつ即興性に富んだ芝居に対し、本郷は徹底して計算されたシャープなリアクションで対峙しました。二宮のリアルな動揺と、本郷の無機質な狂気がぶつかり合うことで、映画全体のサスペンス強度が一段と引き上げられたと製作関係者も高く評価しています。