皮膚の病変を観察する際、病変の「形」と「境界線」に注目することが第一歩だ。信頼される医療情報源であるMSDマニュアルや専門文献の症例比較・鑑別診断ガイドを紐解くと、両者には明確な視覚的違いが存在することがわかる。
アトピー性皮膚炎の場合、皮疹は左右対称に現れやすく、境界線が曖昧で全体的にかさつきや強い乾燥を伴う。一方、カビが原因の感染症では、輪郭がはっきりとした円形や楕円形の赤みが特徴的だ。特に中心部は皮膚が沈静化しているように見え、縁の部分だけが盛り上がって赤く炎症を起こす「中心治癒傾向」と呼ばれる輪状の病変(リングワーム)がみられる場合は、カビ感染を強く疑う必要がある。
また、痒みの質にも違いがある。アトピーは一日中持続する強い痒みや乾燥感を伴うが、カビ感染は発汗時や入浴後など、皮膚が温まり湿度が高まったタイミングで突如として激しい刺すような痒みに襲われる傾向がある。