風営法は、店舗型性風俗特殊営業の営業所について「学校・図書館・児童福祉施設等から200メートル以内は原則禁止」といった立地規制を設けている。また、営業所の構造・設備についても、個室の広さや出入口の構造、防音設備など細かい基準が存在する。アパートの一室でこれらをすべて満たすことは現実的に不可能に近い。
ではなぜ営業が成立してしまうのか。最大の理由は「届出制の無店舗型」を装う点にある。無店舗型性風俗特殊営業(デリヘル等)は、公安委員会への届出さえすれば営業可能であり、立地規制も構造基準も適用されない。そこで、アパートの一室を「女性従業員の待機所」と称して届け出るケースが後を絶たない。しかし、実際にはその部屋で接客行為が行われている場合、実態は「店舗型」であり、風営法違反となる。
さらに、各都道府県の迷惑防止条例も重要な要素だ。例えば東京都迷惑防止条例では、公共の場所や公共の乗り物における卑猥な行為を禁じているが、アパートの室内は「公共の場所」に該当しないため、条例違反にはなりにくい。この法的隙間が、アパート風俗のグレーゾーンを生む構造的要因となっている。
報道各社の取材によれば、2026年に入り警視庁は「アパート風俗の実態解明プロジェクト」を強化しており、無届出営業に対する一斉摘発を複数回実施している。2026年3月には新宿区のアパートで無届出の店舗型風俗営業が摘発され、経営者と従業員計5名が逮捕された。同様の事例は大阪・名古屋・福岡でも確認されている。