デビュー当初のAimerは、徹底して顔を伏せていた。CDジャケットやミュージックビデオではイラストや風景、あるいは逆光のシルエットのみが描かれ、ライブ会場でも照明は極端に落とされていた。暗闇の中から響く、静寂を切り裂くようなハスキーボイス。ファンは彼女の素顔を妄想し、声から想像される神秘的な像を膨らませていた。
潮目が変わったのは2016年である。野田洋次郎(RADWIMPS)楽曲提供の『蝶々結び』をリリースした際、音楽番組『ミュージックステーション』に初出演を果たした。テレビカメラのフレームに捉えられたのは、それまでの重厚な暗闇のイメージとは対照的な、柔らかく可憐な一人の女性だった。
その瞬間、ネット上は騒然となった。「想像していたクールな印象と違ってすごく可愛い」「柔らかな雰囲気が素敵すぎる」といった投稿が相次ぎ、検索窓には「Aimer 顔 かわいい」というワードが躍り出た。ミステリアスな神秘性から一転、親しみやすさと品格を併せ持つビジュアルが鮮烈な記憶として刻まれた瞬間だった。