猫専門病院である「東京猫医療センター」の院長を務める服部幸獣医師は、日常の臨床現場において「飼い主が『少し様子が変わった』と感じた時点ですでに病気が進行しているケースは少なくない」と警告する。特に慢性腎臓病や下部尿路疾患(FLUTD)といった猫特有の疾患は、初期段階での自覚症状が見えにくいことで知られる。
水を飲む量が急激に増えた、トイレに行く回数は多いが排泄量が少ない、あるいは毛並みにツヤがなくなりパサついているといった変化は、決して見過ごしてはならない身体的サインだ。日本獣医師会も、7歳以上のシニア期に入った猫に対しては、外見上の大きな変化がなくても定期的な血液検査や尿検査を受けることを推奨している。熟練の獣医師による早期の臨床アプローチが、愛猫のQOL(生活の質)を維持するために決定的な役割を果たす。