黄色と黒の豹柄マスクを身に纏い、マットに降り立った覆面レスラー、タイガーマスク。その正体である伊達直人は、「虎の穴」が生み出した最高傑作であり、同時に組織に反旗を翻した最大の裏切り者でもあった。彼が背負った宿命はあまりにも重い。自分が育った孤児院を救うために上納金を断ち切り、刺客との殺し合いに身を投じることとなったのだ。
実在のプロレス界にとっても、この物語が与えたインパクトは計り知れない。悪役(ヒール)から善役(ベビーフェイス)への転向という劇的なカタルシス、流血戦の裏に隠された自己犠牲の涙。伊達直人が見せた泥臭くも崇高な戦いは、現実に生きるレスラーたちのキャラクターメイキングや興行の演出手法にも計り知れないインスピレーションを与え続けている。