「スマートフォンの電話帳なんて、電話番号と名前が保存できればどれも同じではないか」という認識は、今や大きな誤解となりつつあります。情報通信関連の調査機関が公表したデータによると、スマートフォンユーザーの約42.8%が「機種変更時のデータ移行の失敗」や「連絡先の意図しない重複・消失」を経験しています。とりわけiOSとAndroidの仕様変更が頻繁に行われる昨今、標準アプリのクラウド同期設定の不備によるトラブルが急増しています。
さらに深刻なのが、野良アプリや一部の無料サードパーティ製ツールに潜む電話帳アプリの危険性とセキュリティの欠如です。過去には、利便性を謳いながらインストール時にアドレス帳データ全体を外部サーバーへ無断送信していた悪質なツールが公式ストアで摘発された事例もありました。アドレス帳には自分自身の情報だけでなく、家族や友人、取引先の氏名、電話番号、メールアドレス、勤務先といった極めてセンシティブな個人情報が含まれます。万が一漏洩した場合、知人全員を迷惑メールやフィッシング詐欺の標的に晒す加害者になりかねません。
安全な連絡先管理アプリを選ぶ基準は、開発元の身元が明らかなこと、エンドツーエンドの暗号化が施されていること、そして不要な権限(位置情報や写真への過剰なアクセス要求など)を求めてこないことの3点に集約されます。標準アプリをそのまま使う場合でも、定期的なバックアップとクラウド連携の仕組みを正しく理解しておくことが身を守る第一歩となります。