田川市民プールが開設された当時、筑豊エリアにおいて全長数百メートルの流水プールと曲がりくねったウォータースライダーを兼ね備えた公営レジャー施設は極めて希少でした。民間テーマパークに引けを取らない遊休施設が、公営ならではの低料金で利用できたため、夏休み期間中には市内外から連日何万人もの利用者が押し寄せる盛況ぶりを誇っていました。
しかし、屋外施設であるがゆえに、紫外線や風雨、冬場の凍結によるダメージは数十年にわたって蓄積され続けました。関係者の証言や市の点検記録によると、表面的な塗装の剥が落にとどまらず、地下に埋設された給排水管の著しい腐食、循環濾過装置の基幹パーツの寿命超過、コンクリート躯体のひび割れによる漏水が深刻化していたことが判明しています。
特に近年は、全国的にプール施設における吸排水口の安全基準や、アトラクション設備の耐震・安全規格が厳格化されました。子どもの指や体が巻き込まれる重大事故を未然に防ぐための改修や、スライダー滑走面・支柱の抜本的な補強には、建設当時とは比較にならない高精度の安全対策が義務付けられています。応急処置的なパッチワーク補修では安全を担保できない水準まで施設老朽化と安全対策の課題が限界に達していたことが、営業継続を断念させた直接的なトリガーでした。