思い返せば、彼のキャリアはSNSという時代の潮流と切っても切れない関係にあった。TikTokでの何気ない投稿が爆発的な再生数を記録し、一目見たら忘れない圧倒的な親しみやすさで同世代の心を掴んだ。続いて出演した『月とオオカミちゃんには騙されない』でのピュアな振る舞いは、一瞬で全国区の知名度を叩き出すきっかけとなる。
だが、本人は当時から冷静だった。「バズ」は一瞬の熱狂に過ぎないと、誰よりも理解していたのだ。モデル活動やバラエティ出演をこなしながら、密かに演劇のワークショップへ足繁く通い、声の発声から感情の機微を表現する身体技法まで、泥臭い下積みを愚直に積み重ねていた。