家具づくりにおいて、最も地味でありながら最も残酷な工程が「乾燥」である。木は生きている。製品化された後も、空気中の水分を吸っては吐き、伸び縮みを繰り返す。これを甘く見れば、数年後にテーブルの天板が割り、引き出しが開かなくなる。
浜本工芸の工場に一歩足を踏み入れると、広大な敷地に積み上げられた膨大な木質資材に圧倒される。数ヶ月どころではない。数年もの歳月をかけて日本の風土に天然乾燥させ、さらに人工乾燥炉で木材内部の水分量を厳密にコントロールする。この気が遠くなるような前処理こそが、酷暑や乾燥が激しくなる日本の四季に耐えうる堅牢な骨格をつくり出すのだ。手間を惜しまない時間への投資が、同社の家具に「絶対に狂わない」という揺るぎない信頼を与えている。