いわゆる「ハーレム系」や「ラブコメ」ジャンルにおいても、松岡が演じる主人公たちは一線を画している。『五等分の花嫁』の上杉風太郎役では、一見冷徹で現実主義的なガリベン高校生が、五姉妹との交流を通じて人間味を獲得していく過程をコミカルかつ誠実に表現した。単なる羨ましいポジションの主人公ではなく、視聴者が感情移入し応援したくなる泥臭い魅力を与えるのが彼の真骨頂だ。
また、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(ダンまち)』のベル・クラネル役で見せた成長劇も外せない。初期の弱々しく怯えていた少年が、憧れの背中に追いつくべく強者へと駆け上がっていく過程で、声のトーンに芯が通り、凛とした英雄の響きへと変化していく様は圧巻だ。キャラクターの「時系列による成長」を声だけで表現する技術において、彼の右に出る者はいない。