原作の持つシュールな味わいを、倍増させたのがアニメ制作陣の演出力だ。長年にわたり『ドラえもん』を手掛けてきたシンエイ動画は、ころばし屋が迫り来るシーンにおいて、無音の緊張感とコミカルなBGMを効果的に使い分けた。
テレビ朝日系列で放映された昭和・平成・令和の各アニメシリーズにおいて、ころばし屋は時代ごとに微調整されながら登場している。静かな足音とともに画面の端からぬっと現れるあの特有のカメラワークは、日本の主要なアニメ業界においても「サスペンス演出の黄金パターン」として語り継がれるほどの仕上がりを見せた。