岡本信彦の真骨頂は、傷を抱えた不器用な男たち、すなわちダークファンタジー作品における複雑なキャラクター造形にこそ発揮される。『鬼滅の刃』の不死川玄弥が見せた、兄への思いと己の無力さに苛む切実な葛藤。粗暴な言動の裏に見え隠れする不器用な優しさを、岡本は生々しい質感で演じきった。
また、彼の代表作の筆頭である『とある魔術の禁書目録』の一方通行〈アクセラレータ〉では、狂気的な笑い声と切ないまでの孤独を同居させ、アニメ史に残るダークヒーロー像を確立した。学園都市最強の能力者でありながら、ひとりの少女を守るために闇を走る複雑な心理描写は圧巻だ。