もちろん、相撲道が持つ精神性や礼儀作法といった伝統を軽視しているわけではない。朝の挨拶から始まり、ちゃんこ番の役割分担、そして土俵に対する敬意。これらは厳格に守られている。しかし、高圧的な指導や理不尽な上下関係は徹底して排除された。
親方が目指すのは、力士自らが考えて動く「自立型」の力士育成だ。稽古の後には、ビデオカメラで撮影した自身の相撲を親方やコーチ陣と共に分析するミーティングが行われる。自分の弱点を視覚的に理解し、次の日の稽古でどう修正するかを自ら言語化させる。このプロセスこそが、現代の若者のモチベーションを刺激している。