奥仲麻琴が全国的な注目を集めるきっかけとなったのは、間違いなく『仮面ライダーウィザード』への出演だった。しかし、彼女の本業は当時、空と旅をテーマにしたガールズロックユニット「PASSPO☆」のフライトクルー(メンバー)。過密なライブツアーと早朝からの特撮撮影という、過酷を極める二重生活がここから始まった。
オーディション当時、演技経験が豊富だったわけではない。それでもスタッフを引きつけたのは、浮世離れしたミステリアスな空気感だったという。記憶を失い、魔力を補給しなければ生きていけないという難役コヨミ。東映のプロデューサー陣は、彼女の持つ儚さと凛とした芯の強さに、特撮ヒーロー番組のヒロインとしての唯一無二の資質を見出したのだ。