日本国内の着物アフターケア市場におけるヒアリング調査や、SNS・大手知恵袋コミュニティの投稿を分析すると、成人式を終えた家庭の約7割が「自己流のたたみ方」によるトラブルを経験している実態が浮かび上がります。
「母親や祖母に着せてもらったものの、帰宅後に誰も正しいたたみ方が分からず、適当に四角く折ってプラスチックケースに押し込んでしまった」「洋服用の針金ハンガーに掛けたままクローゼットに数ヶ月放置し、肩山が伸びて修復不能になった」という悲痛な声は後を絶ちません。
特に現場の悉皆職人が警鐘を鳴らすのが、「防虫剤の化学反応による変色事故」です。良かれと思ってドラッグストアで購入した異なる成分の防虫剤(例:ナフタレン製剤とパラジクロルベンゼン製剤)を同じ引き出しに混用すると、薬剤同士が化学反応を起こして液化し、振袖の生地に油染みのようなシミを作ったり、金銀糸・ラメ箔を黒く酸化・融解させたりします。
振袖の防虫剤は必ず「植物性(しょうのう等)」または「無臭のピレスロイド系(着物用)」の1種類のみに限定し、着物に直接触れないようタンスの四隅に置くのが鉄則です。