「深夜高速」を聴いた多くの人が抱く最大の疑問は、サビで連呼される「生きててよかった」という言葉の質感です。一般的なポップソングに見られるような、輝かしい未来を無邪気に信じる応援歌とは明らかに手触りが異なります。
自著や当時の音楽専門誌のロングインタビューにおいて、作詞・作曲を手掛けた鈴木圭介氏は、この歌詞に込めた心情を赤裸々に告白しています。楽曲内で描かれるのは、「毎日が生きてて最高だ」という幸福論ではありません。むしろ歌詞の全体像は、若さを浪費し、思い通りにいかない現実に苛まれ、青春の残りかすを握りしめながら夜の高速道路をひた走る、やり場のない孤独感に支配されています。
つまり、本作における「生きててよかった そんな夜を探してる」というフレーズの本質は、「99日のやるせない日常や敗北感のなかで、ほんの1日でも『生きていてよかった』と心底思える夜に出会えるなら、人間はまた明日を生きていける」という、極限状態での生存確認なのです。絶望を無理にポジティブへ変換するのではなく、底知れぬ徒労感を抱えたまま前を睨みつけるリアリズムこそが、聴き手の深い共感を呼んでいます。