カラチの料理がパキスタンの他都市と比べて際立って多彩な理由は、この街が歩んできた独自の歴史にあります。1947年のインド・パキスタン分離独立の際、インド北部のデリーやラクナウ、ハイデラバードから多くのウルドゥー語話者(ムハージル)が首都であったカラチに移住してきました。
彼らが持ち込んだムガル帝国の洗練された宮廷料理のレシピが、先住のシンド地方の素朴な食文化やアラビア海の豊かな海産物と融合しました。さらに、北西部のカイバル・パクトゥンクワ州から移り住んだパシュトゥーン人による豪快な肉の炭火焼き技術が加わり、現在のハイブリッドでエネルギッシュなカラチ・グルメが完成したのです。
肉汁溢れるカバブから繊細なスパイス使いのビリヤニまで、一皿の中に南アジアの激動の歴史と人々の移動の記憶が深く刻み込まれています。