売り場の光景を一変させたのが、店舗全体に網の目のように張り巡らされたリテールテックである。棚に設置された電子ペーパー型棚札は、本部からの指示一つで全店の表示価格を一斉に変更する。近隣競合店の価格変動や、オンライン上のAmazon.co.jpにおける即時値下げに反応し、AIが売れ行きや時間帯、天候までも味方につけて最適価格を算出するダイナミックプライシングが常態化した。
自社アプリをダウンロードした顧客が店内に足を踏み入れると、Bluetoothビーコンが位置情報を検知する。過去の閲覧履歴や検索データに基づき、特定の棚の前に立った瞬間に限定クーポンを発行するアプローチも実用化された。テクノロジーの導入により、家電量販店業界のプライシング戦略は「一律の定価」から「顧客ごとに最適化された動的価格」へとシフトを遂げている。