企業の公益活動を読み解く際、専門用語の乱立が理解を妨げる要因になっています。特にCSRと社会貢献の違いや、SDGsと社会貢献の関連性、さらにはメセナ活動とフィランソロピーの立ち位置は、実務担当者ですら混同しがちな領域です。
CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)は、企業がステークホルダー(顧客、従業員、取引先、地域社会、環境)に対して果たすべき倫理的責務であり、マイナスをゼロにする「守りの責任(法令順守、人権配慮、公害防止)」と、社会価値を生み出す「攻めの貢献」の双方を含みます。一方、従来の日本的文脈における社会貢献は、本業とは切り離された「余剰利益の社会還元」として扱われてきた経緯があります。
文化・芸術支援に特化した活動をフランス語由来で「メセナ」、人道支援や慈愛に基づく包括的な公益寄付を「フィランソロピー」と呼びますが、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の登場以降、これらはすべて「17の国際目標達成に向けた戦略的リソース投下」として再編されました。