全国各地の歴史博物館や戦国大名の記念館の多くが500円から1,000円前後の観覧料を設定する中、名古屋市秀吉・清正記念館は常設展示を完全無料で一般公開しています。企画展示や特別展示の期間であっても基本的に追加料金は発生せず、訪れる来訪者の多くが「このクオリティで本当にタダでいいのか」と驚きの声を漏らします。
この異例とも言える料金設定の根底には、名古屋市教育委員会が主導してきた社会教育施策の基本理念が存在します。当館は1967年に開館した歴史を持ち、名古屋市博物館の分館という位置づけで運営されてきました。単なる観光集客施設ではなく、「郷土の二大英雄の歴史的足跡を市民・児童生徒が等しく学ぶための教育拠点」として設立された経緯があるため、採算性よりも市民への還元と文化振興が最優先されているのです。
また、記念館が所在する「中村公園文化プラザ」の1階には中村図書館が同居しており、複合公共施設としての性格を帯びています。地域住民が日常的に出入りする導線上に歴史展示を配することで、敷居を徹底的に下げ、世代を超えて地域のルーツに触れさせる仕組みが成立しています。