走っている最中に腹部を襲う痛みの多くは、医学的に「ETAP (運動時一過性腹痛)」と呼ばれる。オーストラリアのアボンデール大学で長年研究を続けるダレン・モートン博士 (Darren Morton)らの研究によると、ETAPの主な原因は、腹直筋の奥にある壁側腹膜と、内臓を覆う臓側腹膜の間に生じる摩擦や刺激だという。特に食直後など胃に食べ物が残っている状態では、上下運動によって腹膜同士が強くこすれ合い、鋭い痛みが発生する。
また、運動強度が上がると消化器官への血流が急激に減少し、骨格筋へと血液が集中する。この「内臓虚血」状態も、腸管の痙攣や痛みを引き起こす主要因だ。横隔膜・壁側腹膜に過度な負担がかかることで、息を吸うたびに刺し込むような衝撃が走る。かつて人気番組のNHKスペシャル ヘルスケア特集でも取り上げられ、多くの市民ランナーの間で話題となった。