そもそも、なぜこれほど複雑な仕様変更が必要だったのか。答えは極めて単純、偽造防止だ。かつて韓国の500ウォン硬貨を悪用した変造事件が多発した苦い教訓がある。日本政府は、世界で最も偽造が困難な硬貨を作ることに執念を燃やした。
新500円玉のフチには、微細な「異形斜めギザ」が施されている。さらに、見る角度によって「500円」と「JAPAN」の文字が浮かび上がる潜像加工など、紙幣レベルの技術がこの小さな円盤に凝縮されている。職人技とも言えるこの設計は、偽造グループに対する強力な盾となったが、同時に正規の機械による識別難易度をも跳ね上げてしまった。