名門大学で遺伝学の権威として活躍する科学者ノーマン・スペンサーと、元チェリストの美しい妻クレア。夫妻は、ノーマンの亡き父が遺したバーモント州の静謐な湖畔の豪邸に暮らしています。一人娘ケイトリンが大学進学のために家を離れ、いわゆる「空の巣症候群」による孤独感を抱えていたクレアの日常は、ある日を境に急速に崩れ始めます。
きっかけは、隣家に越してきたフェアー夫妻の不審な挙動でした。激しい夫婦喧嘩を繰り返す声、激しく泣き叫ぶ妻メアリーの姿、そして雨の夜に夫ウォーレンが車のトランクへ巨大な重い包みを積み込む場面をクレアは目撃します。「隣家の夫が妻を殺害したのではないか」という疑念に取り憑かれたクレアは、次第に自室でも不可解な現象に遭遇するようになります。
勝手に開く玄関ドア、湯気が立ち込めるバスルームの鏡に浮かび上がる「YOU KNOW(お前は知っている)」という血文字、パソコン画面に勝手に打ち込まれる謎のイニシャル「MEF」、そしてバスタブの底に揺らめく見知らぬ若い女性の幻影――。精神的な不安定さを心配した夫ノーマンは精神科の受診を勧めますが、怪奇現象はクレアの精神を容赦なく追い詰めていきます。