人間の脳は、誕生から3歳頃までの間に、一生のうちで最も激しい神経回路(シナプス)の増殖と剪定(せんてい)を行う。いわゆる「シナプスの過剰形成期」だ。この時期に親や周囲の大人から注がれた愛情、言葉かけ、五感に訴える刺激は、脳の扁桃体や前頭前野の配線を物理的に形作っていく。
危険を察知した時の警戒度や、他者に対する根本的な信頼感といった「感情のプライマー(下地)」は、言葉による記憶に残らない超早期に、自律神経系とともに身体へ深く刻み込まれる。3歳までの体験が不可逆な刻印を残すというのは、脳構造の観点から見ても決して突飛な話ではない。