試合終了のサイレンが鳴り響く瞬間、カメラが向かうのはマウンド上の歓喜だけではない。ベンチに入れなかった3年生、記録員としてスコアブックをつけ続けたマネージャー、そしてデータ分析に全筋力を注いだデータ担当の部員たちだ。『熱闘甲子園』が長年愛される最大の理由は、この「光の当たらない場所」に光を照射し続ける姿勢にある。
今大会でも、自らは背番号をもらえなかった選手が、スタンドの最前列で声が枯れるまで太鼓を叩き続ける姿が捉えられた。試合後、涙を流すエースの背中を静かに叩き、「お前と野球ができて最高だった」と声をかける控え投手の言葉。言葉数は少なくても、3年間の青春をすべて捧げてきた者同士にしか分からない絆が、そこには確かに存在している。