再開発を巡る議論は、大学の敷地内にとどまらない。周辺の閑静な住宅街からは、建物の高層化に伴う日照権の問題や、外部人の出入り増加による生活環境の変化を懸念する声が上がっていた。かつてのように地域から孤立した「象牙の塔」のままでは、現代の都市開発は成立しない。
新ビルには地域住民が自由に利用できるオーガニックカフェや公開ライブラリー、さらには大規模災害時の防災拠点としての機能も組み込まれる予定だ。「大学が街の避難場所であり、市民の交流拠点になる」。そうしたビジョンが現実の設計図に落とし込まれていくプロセスは、大学という存在そのものの再定義とも言える。