物語の出発点となるのは、のどかで緑豊かな茨城県の「奥茨城村」だ。貧しいながらも家族愛に溢れた谷田部家で育ったみね子は、出稼ぎに出た父・実の失踪という事態に見舞われ、家族を支えるために集団就職で上京を決意する。
彼女がたどり着いたのは、急速な発展を遂げる東京の洋裁工場「向島電機」や、下町の風情が残る赤坂の洋食屋「すずふり亭」だった。泥臭い農村の生活感と、近代化へと向かう都市の躍動感。そのコントラストを鮮やかに描き出しつつ、登場人物の誰もが他者を思いやる温かさを持っている点が、観る者の心を深く包み込んだ。