疑問が残る。蚊は皮膚の外側からどうやって人間の血液型を特定しているのだろうか。皮ふを刺して血を味わう前に血液型がわかるはずもない、と思われがちだ。だが、ここには人体特有の生体化学が深く関わっている。
人間の約80%は、唾液や汗、皮膚の皮脂腺から自身の血液型物質(抗原)を体外へ放出する「分泌型」と呼ばれる体質を持っている。特にO型の人が分泌する「H抗原」の糖鎖構造は、蚊の触角にある化学受容体を強烈に刺激する性質を持つ。つまり蚊は、吸血する前に皮膚表面へ滲み出た血液型特有の化学的サインを直接感知し、着地場所を選び取っているのだ。