格闘技のリングに上がるという決断は、多くのファンを驚かせた。俳優業からの引退を一度は口にし、身体一つで痛みに立ち向かう世界へ身を投じた彼。スポットライトと拍手に包まれる世界から、拳と意地がぶつかり合う生々しい世界へ。そこには、他人が作り上げた「高岡蒼甫」というイメージをすべて脱ぎ捨てたいという、痛切な欲求が存在していたのだろう。
後年、彼はインタビューなどで過去の自分を省み、かつて支えてくれた人々や元妻への感謝、そして若さゆえの至らなさを率直に語るようになる。泥をすするような回り道を経たからこそ到達した、ひとつの境地。完璧な優等生ではないが、己の人生から決して逃げなかった男の顔がそこにはあった。