煎餅の味を左右する二大要素は、米と醤油だ。山形県内には出羽三山や蔵王連峰から湧き出る豊かな伏流水があり、生地の仕込みや洗米にこの清冽な水がふんだんに使われている。
さらに特筆すべきは、タレに使われる醤油のこだわりだ。地元・山形の老舗醸造元が木桶でじっくり熟成させた無添加の純米本醸造醤油が、熱々の煎餅にジュッと染み込む。化学調味料や着色料を一切排し、鰹節や飛魚(トビウオ)からとった自家製出汁を加えた独自のタレは、後味が驚くほど上品だ。一口ごとに広がる奥行きのあるコクは、まさに職人たちの意地と誇りの賜物と言える。