京都の街を歩いていて気づくのは、一見すると普通の古民家や雑居ビルの2階にあり、看板すら出していないセレクトショップの存在感だ。SNSでの過剰な拡散をあえて避け、Googleマップのピンだけを頼りに訪れるような完全予約制・少人数制のスタイルをとる店が増えている。
こうした店舗が目指すのは、限定感を演出する売り方ではない。1人の客に対してオーナーやバイヤーがじっくりと時間をかけ、服の背景にあるクリエイターの思想や仕立てのこだわりを語り明かす「対話の場」の提供だ。店内には心地よいジャズやアンビエントミュージックが流れ、茶を飲みながら服を選ぶという、極上の時間が流れている。