退団後の彼女を決定づけた代表作といえば、間違いなくミュージカル『エリザベート』だろう。宝塚在団中にも同役を演じた経験を持つ彼女だが、退団後のグランドミュージカル版で見せた姿は、かつての延長線上にはなかった。
少女期の無垢な躍動から、孤独に苛まれる晩年の苦悩まで、一人の女性の人生を血の通ったリアリティで生き抜いた。歌唱面においても、クラシカルな高音から地声を駆使したエモーショナルな表現まで劇的な深化を証明。観客はそこに「元タカラジェンヌ」の枠を完全に脱ぎ捨て、一人の「大女優」として覚醒した瞬間を目撃したのだった。