「圧倒的な個の力を持つ私立に、真っ向勝負で勝てるはずがない」。長年、高校野球界を支配してきたこの諦念を打ち砕いたのは、市販のハイスピードカメラとタブレット端末の普及だった。
地方のある県立高校のグラウンドを訪ねると、バックネット裏には三脚に固定された小型センサーが鎮座している。投手の球速や回転数、打者のスイング軌道が即座に数値化され、グラウンド上の選手たちがスマホ画面を見つめながら議論を重ねていた。従来の「指導者の直感」や「根性論」を徹底的に排除し、データに基づく効率的なフォーム矯正と配球パターンを構築。相手投手の癖や配球傾向を極限まで分析した結果、私立のプロ注目投手から効果的に得点を奪うシーンが珍しくなくなった。