彼女のキャリアを語る上で、1989年にフランス・パリで開催された世界選手権を外すことはできない。女子選手として史上初となるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を完璧に着氷させたその瞬間、会場のパレ・デ・スポールは割れんばかりの歓声に包まれた。
フェンスをはるかに越える高さ、圧倒的な幅、そして着氷後の流れるような滑走。審判員たちが提示した満点評価の嵐は、フィギュアスケート界の新しい扉が開かれた合図だった。アジア人として初の世界女王に輝いたこの偉業は、欧米中心だったフィギュアスケートのパワーバランスを一夜にして変えてしまった。