繊維や紙の問屋がひしめいていた小伝馬町エリアだが、近年はビジネス構造の変化に伴い、空きビルや既存の区画を有効活用する動きが加速した。その口火を切ったのが、リノベーション建築を活用したオルタナティブスペースの進出だ。高い天井と無骨なコンクリートの骨組みを生かしたギャラリーやスタジオは、整地された都心のビル群にはない独特の「余白」を若手アーティストに供給している。
さらに見逃せないのが、サードウェーブ以降のコーヒーカルチャーがこの地に深く根を下ろしたことだ。海外の名店で修業を積んだバリスタたちが次々と個人店をオープンさせ、週末には浅草橋や馬喰町から散策してきた人々で行列ができる。静けさと刺激が同居する空間づくりが、かつての無機質なオフィス街を人間味あふれる文化の発信地へと塗り替えた。