経済的な背景も見逃せない。歴史的なインフレーションの影響を受け、大衆居酒屋の価格帯すら上昇を続ける中、消費者の支出行動は「回数」から「質」へと明確に舵を切った。3軒も4軒も居酒屋をハシゴして漫然と数千円を使い続けるくらいなら、1軒に絞って極上の体験にお金を払う——こうした合理的な消費行動が定着している。
都内の高級ホテルのナイトラウンジや、一人当たり1万〜2万円帯のアフター5限定プレミアムディナーコースは、数週間前から予約で埋まる盛況ぶりだ。「ただなんとなく集まる」ための雑多な宴会は淘汰され、「誰と、どんな時間を過ごすか」が厳格に吟味されるようになった。タイパ(タイムパフォーマンス)を意識する現代人にとって、時間を無駄にしない上質な外食体験こそが、明日への投資として選ばれている。