だが、手放しの賞賛ばかりではない。社会への全面的な普及に向けては、解決すべき現実的な課題も山積している。
第一に挙げられるのが「静音性ゆえのプライバシー問題」だ。従来のドローンであれば、近づいてくれば音で気付くことができた。しかし、ほとんど無音で窓外を滞空できる超小型機は、市民に盗撮や監視の不安を抱かせかねない。国土交通省と警察庁は2026年夏に向けて、識別信号の発信義務付けや飛行許諾区域の厳格化を盛り込んだ新たなガイドラインの策定を進めている。
第二に、悪天候時の限界性能だ。軽量化を極めた機体は、猛烈な局地的大雨や秒速15メートルを超える台風級の突風にはまだ耐えきれない。第三に、大量生産に向けた製造コストの壁だ。精巧な超微細アクチュエータの歩留まり向上策が、商業ベースに乗せるための大きなハードルとなっている。