日本においてピッツァは長らく、手軽な宅配ピザやカジュアルなランチの選択肢として親しまれてきた。しかし、その概念はいま劇的な変貌を遂げている。カウンター越しにシェフの手捌きを眺め、焼き立ての1枚ごとに厳選されたコース仕立ての料理を楽しむ「ピッツァ・ディナー」というスタイルが定着したのだ。
店内にはワインのアロマと木々の香ばしい煙が立ち込め、落ち着いた大人の空間が広がる。もはやピッツァは「お腹を満たすためのファストフード」ではない。前菜からメインのピッツァ、そしてデザートに至るまで緻密に計算されたストーリーを体験する、贅沢なファインダイニングとしての地位を確立したのだ。この変化に伴い、客層も若い世代から舌の肥えたミドル層、外国人旅行客まで幅広く拡大している。