明治維新の狂瀾怒濤のなか、国家の骨組みを急速に組み替える必要があった。そこで立ち上げられたのが、国家の血液とも言える情報を巡らせるための郵便制度創設プロジェクトだ。地方ごとに通貨も度量衡もばらばらだった時代、全国を一つの情報ネットワークで結ぶという発想自体が異次元の試みだった。
この壮大な構想を強力にバックアップしたのが、政府の巨頭・大久保利通である。彼もまた、近代国家の成立には迅速かつ正確な情報伝達が不可欠だと確信していた。二人は時に激しく議論を重ね、旧来の飛脚問屋からの猛反発や保守派の妨害を退けた。官民の利害が複雑に絡み合うなかで下された決断の数々が、日本の近代化速度を決定づけたと言っても過言ではない。