走高跳の世界記録を語る上で、まず押さえるべきは男子と女子の絶対的基準値だ。世界陸連(World Athletics)の公式記録によると、男子走高跳の世界記録は2m45。キューバのハビエル・ソトマヨルが1993年7月27日、スペイン・サラマンカで樹立した。一方、女子走高跳の世界記録は2m09。ブルガリアのステフカ・コスタディノワが1987年8月30日、ローマ世界陸上でマークしている。
ソトマヨルは公のインタビューで「自分の記録は完璧な条件下で生まれた。風、観客、体調、すべてが噛み合った」と語っており、単なる身体能力の高さだけでなく、競技環境の総合的な最適化が記録に直結した稀有な瞬間だったことがわかる。またコスタディノワは現役引退後、ブルガリア陸連の会長職を経て国際的な競技運営に関わり、女子競技の発展に寄与している。
ここで、主要記録の全体像を整理しておく。後述する歴代ランキングと合わせて確認すると、記録の「層の厚さ」と「頭打ち感」が同時に見えてくる。
なお、日本の男子走高跳は戸邉直人が2019年に2m33の日本記録を樹立して以降、2m30超をコンスタントに跳べる選手が増えている。2026年シーズンには赤松諒一や真野友博らが2m28〜2m30前後をマークし、パリ五輪後の新サイクルで日本勢の層が厚くなっているのが特徴だ。