佐藤二朗の強迫性障害は、大人になってから突如発症したものではありません。本人の述懐によると、始まりは小学校低学年の頃にまで遡ります。「これをしなければ恐ろしいことが起きる」「決まった手順を踏まないと大切な人が傷つく」といった不条理な強迫観念が突然頭を支配し、幼い心を激しく圧迫しました。
当時の彼を苦しめた具体的な症状として、自著や特別番組でのインタビューでは以下のような実態が明かされています。
- メモ魔・確認行為のループ:頭に浮かんだ言葉や予定を紙に書き留めずにはいられず、書き損じがあると最初からやり直さなければ激しい不安に襲われる。
- 不吉な思考の打ち消し儀式:頭の中に不吉なイメージが浮かぶと、それを帳消しにするために特定の動作や言葉を心の中で何度も反芻(はんすう)する。
- 過度な対称性・整列への執着:物の配置や足の踏み出し順など、決まったルールを守らないとパニックに近い焦燥感に駆られる。
多感な少年時代、周囲の友人には到底理解してもらえない奇妙なマイルールに縛られながら、誰にも相談できず孤独な恐怖と戦っていたと振り返っています。思春期を経て青年期に入ってもその症状は完全に消え去ることはなく、心の波とともに強弱を繰り返しながら彼の人生に影を落とし続けました。