スタジアム巡業の裏には、過酷な移動スケジュールと並々ならぬ努力があった。週末ごとに北は北海道から南は沖縄まで飛ぶ日々。過密日程の中で試合の戦術ノートを自らつけ、クラブごとの歴史や選手個人のプレースタイルまで頭に叩き込んだという。テレビ画面で見せる爽やかな笑顔の裏で、膨大なデータをインプットするプロ意識が隠されていたのだ。
ファンを驚かせた意外なエピソードも残っている。ある豪雨の試合中、スタッフが差し出す傘を断り、「サポーターのみんなが濡れているのに、自分だけ濡れないわけにはいかない」とポンチョ姿でピッチサイドに立ち続けた。こうした現場重視のスタンスと飾らない人柄が、サポーターから「俺たちのマネージャー」と親しみを込めて呼ばれる最大の理由である。