『子連れ狼』映像化の歴史において、拝大五郎を演じた子役たちはその愛らしいルックスと、死線をくぐる武士の気迫を見事に演じ分けました。しかし、幼少期に手にした絶大な名声の裏で、その後の歩みは三者三様の運命を辿っています。
勝新太郎が設立した勝プロダクション製作の映画版(1972年〜1974年)で若山富三郎演じる拝一刀の息子を務めたのが富川晶宏です。オーディションで選ばれた富川は、セリフこそ少ないものの、無垢な瞳の中に冷徹な覚悟を宿した演技で海外からも絶賛を浴びました。映画シリーズ完結後は芸能活動を継続せず、学業を経て一般社会へ進出。実業の世界で堅実なキャリアを築き、子役時代の栄光に溺れることなく平穏な生活を送っています。
一方、日本テレビ系列で放送された萬屋錦之介主演のテレビドラマ版(1973年〜1976年)で国民的人気を博したのが西川和孝です。「ちゃーん!」の叫び声とともに視聴率30%超を叩き出す立役者となった西川は、愛くるしい表情と卓越したリアクションで一世を風靡しました。しかし、成人後は芸能界を離れ、スイミングスクールの指導員を経て1995年に新潟県白根市(現・新潟市南区)の市議会議員選挙に出馬してトップ当選を果たします。
ところが、公職就任後に金銭トラブルや事業の失敗が重なり、多額の借金を抱えることになります。1999年、知人男性を殺害して現金を奪い海外へ逃亡したものの、タイで身柄を拘束されて帰国。その後の裁判で無期懲役の判決が確定し、現在も刑務所に服役中です。国民的子役スターの転落劇は、当時のメディアでも大きく報じられ、昭和芸能界における子役のセカンドキャリアの過酷さを浮き彫りにしました。
テレビドラマ第3部の終盤で大五郎を引き継いだ佐藤たくみ、そして2002年にテレビ朝日系列で制作された北大路欣也版で大五郎を演じた小林翼も注目に値します。小林は卓越した演技力で『キングダム ハーツ』シリーズのキャラクターボイスなどを務める実力派子役・声優として活躍した後、学業に専念するために芸能界を引退しました。