晩年に発表された詩集『倚りかからず』は、日本の現代詩史において異例のベストセラーとなった。いかなる権威や組織、思想にも寄り添わず、一人で立つ。その澄み切った意志は、情報が過剰に溢れ返り、自らの価値観を見失いがちな現代社会において、一筋の光明として機能している。
彼女の言葉は、決して難解な比喩で煙に巻くことはない。日常の言葉を研ぎ澄まし、本質だけを削り出す。その削ぎ落とされた文体こそが、時空を超えて普遍的な強度を保ち続ける理由だ。出版業界において詩集がこれほど長く愛読され続ける例は極めて稀であり、彼女が打ち立てた金字塔は今も揺らいでいない。