都内のオフィスビル。窓のない一角に置かれた机で、40代の男性社員は毎日定時まで椅子に座り続ける。彼に与えられた唯一の役割は「自席での待機」だ。一昔前であれば、このような冷遇に苦しみ、プライドを傷つけられた社員が自発的に会社を去っていくケースが大半だった。だが、2026年現在、現場の実態は大きく変容している。
「自分から辞めれば会社都合ではなく自己都合にされ、手当も減額される。理不尽な人事決定に屈して会社を去るくらいなら、どれだけ放置されようが居座る」。そう語る社員の背後には、法的知識の普及と自己防衛意識の高まりがある。企業側は解雇のハードルが高いため、退職届を出させるための心理的圧迫として追い出し部屋を活用してきた。しかし、社員側がその意図を見抜き、「退職拒否」の姿勢を徹底すると、会社側は手詰まりに陥る。法的に強制排除する手立てが存在しないからだ。