博多の街を代表する映画館として長年親しまれてきた中洲大洋映画劇場が営業を終えたのは、2026年3月31日のことでした。閉館の一報が流れた際、多くの市民や映画関係者から「なぜこれほど愛されている劇場が」と驚きと惜別の声が相次ぎました。
経営不振による撤退を疑う声もありましたが、決定打となったのは終戦直後から続く建物の著しい老朽化です。1946年に建設された中洲大洋ビルは、幾度もの改修を重ねながら営業を維持してきたものの、耐震強度の確保や配管・空調設備の維持管理が限界点に達していました。特に現行の建築基準法や防災基準に適合させるための大規模改修は、構造上きわめて困難であると判断され、来場者の安全確保を最優先とした苦渋の決断だったのです。
ファンファーストを貫き、最後まで安全で快適な鑑賞空間を守り抜くための英断であったことが、関係者への取材からも浮き彫りになっています。