多くの中小企業部長が直面している最大の苦悩は、「管理監督者」として扱われることによる待遇の歪みです。労働基準法上の管理監督者とみなされることで残業代の支給対象外となり、休日出勤や深夜労働が常態化しても手当が増えません。課長時代には支給されていた時間外手当がカットされ、部長昇進直後に実質的な時給が下がる「昇進貧乏」に陥るケースが後を絶ちません。
自らも第一線のプレイヤーとして営業や開発の現場を走り回り、同時に部下の育成や業績管理を背負い込む過重労働こそが、プレイングマネージャーの年収不満と転職理由の筆頭に挙げられます。
見落とされがちなのが将来の退職金です。東京都産業労働局などの調査によると、中小企業部長の退職金相場(定年まで勤め上げた場合)は約1,000万〜1,400万円にとどまります。大企業の部長クラスが2,500万〜3,500万円以上の退職金を手にする現実と比較すると、退職金だけで2,000万円前後の差が開き、老後資金の計画に大きな影を落とします。
こうした処遇のミスマッチを背景に、プレイングマネジメント能力と事業推進力を強みに、中堅・メガベンチャーや大企業の子会社、あるいはコンサルティングファームへと年収アップを狙って転職するミドル層の動きが活発化しています。