長年、中国の静止軌道打ち上げの主役は長征3号B(CZ-3B)だった。しかし、有毒な非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素を使用する旧型機は、環境負荷や内陸部発射場特有の落下物リスクという宿命的課題を抱えていた。
これに対し、液化酸素とケロシンを主推進剤とする新世代機への移行は、単なる環境配慮にとどまらない。エンジンの高比推力化と3段目構造の最適化により、静止遷移軌道への打ち上げ能力は従来の5.5トンクラスから約7トンへと一気に引き上げられた。この1.5トンの差こそが、複合機能を備えた高機能大型衛星の投入を可能にし、中国の軌道上アセットの性能を格段に跳ね上げている。